マイホーム売却時の譲渡損失特例完全ガイド:知って得する節税術
不動産を売却したときは、譲渡所得の計算が必要です。
譲渡所得とは、売却価格から購入価格を差し引いたものです。
利益が出ている場合は税金を納める必要がありますが、損失が出ている場合は特例を利用して税金を軽減できる可能性があります。
本記事では、マイホーム売却時に適用可能な譲渡損失の特例について、詳しく解説します。
特に、以下の2つの特例に焦点を当てて説明します:
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
- 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
1. 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
特例の概要
5年を超えて保有する居住用の不動産を売却して新しく居住用の不動産に買い換える場合、売却損をその年の他の所得と損益通算し、さらに3年間繰り越して所得から控除できます。
適用条件
- 居住用の不動産であること
- 住まなくなってから3年目の年末までに売却すること
- 買い換えた不動産に10年以上の住宅ローンがあること
- 買い換える建物の床面積が50㎡以上であること
- 売却の前後3年以内に買い換えること
2. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
特例の概要
5年を超えて保有する居住用の不動産を売却し、その際に住宅ローンが残っている場合に適用される特例です。
適用条件
- 居住用の不動産であること
- 住まなくなってから3年目の年末までに売却すること
- 売却資産に住宅ローンが残っていること
3. 両特例に共通する適用条件
条件 | 説明 |
---|---|
過去の特例適用 | 売却した前年、前々年に同じ特例やその他の特例を受けていないこと |
売買の対象 | 親子間や夫婦間での売買には適用されない |
共有の場合 | 持分の範囲内で各人に適用 |
譲渡損失 | 一定の譲渡損失があること |
所得制限 | 繰越控除時のみ適用(所得3000万円以下) |
適用期限 | 平成29年12月31日までに譲渡したものに限る |
4. 具体例で理解する特例の適用
例1: 居住用財産の買換え等の場合
太郎さんは、7年前に2,500万円で購入したマンションを2,000万円で売却し、500万円の損失が出ました。同時に、新しい住宅を3,000万円で購入し、2,500万円の住宅ローン(返済期間30年)を組みました。
特例適用の結果:
- 今年の給与所得が400万円の場合、500万円の売却損と相殺できるため、今年の課税所得は0円になります。
- 相殺しきれなかった100万円は、翌年以降3年間繰り越して所得から控除できます。
例2: 特定居住用財産の場合
花子さんは、6年前に3,000万円で購入した一戸建てを2,200万円で売却し、800万円の損失が出ました。売却時点で住宅ローンの残高が500万円ありました。
特例適用の結果:
- 今年の給与所得が500万円の場合、800万円の売却損と相殺できるため、今年の課税所得は0円になります。
- 相殺しきれなかった300万円は、翌年以降3年間繰り越して所得から控除できます。
まとめ:特例を活用して賢く不動産を売却する
これらの特例は、居住用不動産を売却する際に損失が出た場合でも税負担を軽減できる有効な制度です。特例を活用するポイントは以下の通りです:
- 売却のタイミングを慎重に検討する
- 買換えの場合は、条件を満たす物件を選択する
- 住宅ローンの残高や返済期間に注意を払う
- 所得制限や適用期限を確認する
- 専門家に相談し、自身の状況に最適な特例を選択する
注意:税法は改正されることがあるため、最新の情報は国税庁のホームページなどで確認してください。また、個別の事案については税理士などの専門家にご相談ください。
不動産取引を検討する際には、これらの特例の適用可能性を考慮し、専門家に相談しながら適切な税務処理を行うことが重要です。
これにより、経済的な負担を軽減し、より安心して不動産取引を行うことができます。